【連載】これぞうまい店

Extra.02

魔法のルール番外編
その街の女性が認めた店を選ぶ

13.11.14

学生時代、夏休みや、春休み、実家があった京都に帰省しているとき、祇園の高級クラブで黒服のアルバイトをしたことがあります。1980年代半ば、バブル真っ盛りの頃でした。夕方6時から深夜2時まで8時間勤務。時給は800円でした。必死で働いて、6400円もらえるわけですが、客がカラオケで歌った曲を録音したカセットテープを渡しただけで5000円くれたり、店に置いていない煙草を買いに行っただけで、1万円くれたり。金銭感覚がおかしくなりかけましたが、非日常の世界で、気づいたことも多々ありました。 ナンバーワンホステスは、めちゃくちゃ情報通である。 ナンバーワンホステスは日経新聞は毎日読んでいましたし、スポーツにもゴルフにもテレビ番組にも芸能界にも詳しかったのですが、何より祇園界隈の飲食店情報に異常に詳しかったのです。ほぼ、毎日同伴出勤でしたから月20軒、年間200軒以上も超一流の店で晩ご飯を食べているわけです。詳しくなるのも当たり前といえば当たり前なのですが。 祗園に北新地、東京なら銀座、赤坂、六本木。飲み屋街で、いちばん周辺のお店情報に詳しいのは、その街で働く女性たちです。同僚との情報交換も盛んでしょうから、圧倒的な情報量で、口も肥えていることでしょう。 「会員制、一見お断りのステーキハウスの値段が3人で50万円だった」 「出張お座敷寿司に呼ばれていったら、フリーの職人さんで。10万円でやってくれるって」 「朝7時に、焼きたてのハンバーグ食べられる店がある」 など、ディープな濃い、普通なら絶対知り得ない情報の宝庫だと思います。 なかなか知り合う機会はないですが、高級クラブに万が一、足を運ぶ機会があれば、 「最近、めちゃくちゃおいしいと思った店はどこですか?」 「鮨店では、どこがおすすめ?」 というようなシンプルな質問をしたいと思っています。