【連載】これぞうまい店

Vol.03

鉄板焼き「コアラ食堂」

13.11.14

大阪・北区天神橋筋6丁目に近い鉄板焼き「コアラ食堂」です。

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ご主人 寺田充さん

コアラ食堂は、木造の古い町家をご主人の寺田さん自ら改装して、作った「鉄板焼きとワイン」のお店です。黄緑の壁が印象的で、しかも「コアラ食堂」というネーミングもかわいいです。
(ご主人、オーストラリアが好きで、住んでいたこともあり、ワインも、マスタードなどの食材もオーストラリアのものを置いています。コアラの名は、そのオーストラリア好きを象徴しています。)

町家×鉄板焼き×ワイン しかも「コアラ食堂」という名前。さらなる特長は、

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「通し茹での、モチモチ極太焼きそば」

があるのです。
ほとんどの店では、焼きそばは、すでに茹でられた「茹で麺」を使っています。極太麺なら、茹でるのに10分近くかかりますし、場所もとるし、何かと手間です。でもコアラ食堂では、注文が通ってから、茹でます。

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うどんも、蕎麦も茹でたてがおいしいように、焼きそばの麺も、茹でたては、際だっておいしいのです。モチモチで、のど越しにも旨味が感じられます。

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関西人は、なんせ焼きそばが、大好きですから、何軒も、それこそ何十軒も焼きそばの味を知っています。僕は、生涯で100軒以上の焼きそばを味わっていると思います。(笑)でも、この極太麺の、モチモチ感、プルプル感は初めての体験でした。

この、通し茹での焼きそばは、最強のメニューです。
「コアラ食堂って、あの、焼きそばが、もっちりした店でしょ?」
「焼きそばほんま旨かったわ。」
何度、こんな声を聴いたことでしょう。

他店とは違う料理のポイント

コアラ食堂は「鉄板焼きとワイン」のお店です。
焼きそばは、確かにコアラ食堂の最強アイテムですが、大繁盛を読み解くキーワードは、「野菜にあり」です。野菜に関して、3つの他店と違うポイントがあります。

「野菜の鉄板焼きが20種類近くある」

野菜だけの1ページある日替わりメニューをご覧下さい。

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このメニュー、見ただけで楽しくなりませんか? イラスト付きで、手書き。
これだけで「親しみやすさ」「あたたかさ」を感じますし、メニュー自体が、「ヘルシー感」満載です。
「コアラ食堂」が、女性に人気なのも、当然です。
これが、モノクロの明朝体の活字メニューでしたら、冷たい感じがすることでしょう。
メニューは、お店の顔です。

メニューもまた、戦略です。

このメニューは、僕ら、男性には、書けないですね。
コアラ食堂では、奥さんや、お店の女性が、毎日メニューを作っています。
女性の琴線にふれるメニューは、女性目線で、女性に作ってもらうに限ると思います。

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白菜を縦に切って、1/4まるごと焼いて、ゴルゴンゾーラチーズのソースをかけた「白菜のステーキ」650円。

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「カブのソテー」 唐墨パウダーをかけています。

ただの野菜焼きではなく、チーズや唐墨、他にもアンチョビなど、トッピングしたり、ソースにしたりして、動物性の旨味を足しています。

野菜の旨味×動物性の旨味

ヘルシーでありながら、コクもある。旨味もある。
みずみずしい力強い野菜の旨味もしっかり感じながら、少し動物性の旨味もある。
旨味の相乗効果が生まれています。
実は、男性にも受けている理由は、この動物性の旨味にあると、僕はにらんでいます。

「粉もんに水菜をあわせる」

コアラ食堂の粉もん、たとえば、お好み焼きには、必ず、生の水菜をトッピングしています。

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そして、冒頭に紹介しました、焼きそば。
あえてアップで載せていましたが、

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青ネギの上から、お好み焼きと同じように、水菜をたっぷり。
関西では、水菜をたとえば、鯨のハリハリ鍋や、鴨のハリハリ鍋、あるいは、揚げとさっと焚いたり、漬物にしたり、冬場はとてもよく食べますが、粉もんに、生のトッピング(しかも一年中)はかなり珍しいと思います。
シャキシャキとした水菜と、むっちりした焼きそば、お好み焼き。
食感のコントラストが、また面白いし、珍しいのです。

「野菜はクレソンだけを使う鍋がある」

コアラ食堂には、1種類だけ鍋があります。
シンプルに、黒豚とクレソンだけの鍋。
鯨のハリハリ鍋も、鯨と水菜だけという、肉1種類、野菜1種類の組み合わせですが、あれこれ、具を入れたくなるところを、黒豚ロースと、大分県日田産のクレソンだけにしています。
しゃぶしゃぶのように、昆布ダシにさっとくぐらせて、醤油とそのダシを合わせて、和からしで、いただきます。

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「黒豚とクレソンの旨鍋」

これが、また、病みつきになります。僕は、おそらく20回は食べています。
クレソン。苦味がなんともよく、味があって、黒豚との相性は格別です。
ほんとに。

たとえば、数人で行って、野菜の鉄板焼きを数種類、焼きそば、お好み焼き食べて、最後、黒豚とクレソン鍋でしめたとすれば(僕の場合、このパターンが多いです。)
「野菜をたくさん食べた。なんか浄化されたような、すっきりした」…というイメージを持つこと必至です。翌日、胃もたれしません。
ただ、ワインを飲み過ぎてしまう傾向がありますが…。笑

豚肉メニューのパンチ力

そして、この黒豚とクレソン鍋以外にも、実は、豚肉メニューがパワフルです。

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とろとろの半熟たまごで巻いた、「とんぺい焼き」中には黒豚が…。

とんぺい焼き。普通は平たいですが、串焼きにして、たまごを巻いています。
中身を撮るのを忘れましたが、黒豚がたっぷり。これまた、コアラ食堂のスペシャリテで、1度食べたら、必ず2度目も注文したくなるメニューです。

「湯がきたて焼きそば」「黒豚とクレソン鍋」「とんぺい焼き」。
この3つは、コアラ食堂の、3大スペシャルメニューです。

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「黒豚のステーキ」

そして、極めつけは、黒豚のステーキ。下には、もやしがたっぷり。
鹿児島産や大分産の黒豚。150グラム、200グラムと、50グラム単位で頼めます。

結論づけると、コアラ食堂の特長は、

「ふんだんの野菜と豚肉」に特化しているのが、繁盛を呼んでいる。

僕は、そう分析してます。

「コアラ食堂」のまとめ

「町家を改装したモダンな鉄板焼きとワインの店で、野菜の鉄板焼きが20種類近くあり、 茹でたての焼きそば、黒豚とクレソンの鍋、とんぺい焼きなど、強いスペシャルメニューがある。」

RESTAURANT INFO

鉄板焼き「コアラ食堂」

大阪府大阪市北区浮田1-1-17
06-4980-4030
定休日 月曜日
カウンター8席 4人掛けテーブル3席 2階は座敷で14~15人可
17:30~23:30
客単価 3000~